【防火・耐火】に関するQ&A

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この防火・耐火に関するQ&Aは、国土交通大臣認定や運用に係る質問に対し、日本建築仕上材工業会が認識している内容を回答例として示したものです。建築基準法および関連法規への適合性を保証するものではありませんので、基本的には建築主事、特定行政庁、指定確認検査機関の判断に従ってください。
ポリマーセメントモルタルは告示に示されているモルタルに該当するのでしょうか?
セメントと砂を混ぜ合わせたモルタルは、セメントモルタル・普通モルタル・砂モルタルなどと呼ばれ、セメントや砂の他に合成樹脂エマルション、セメント混和用ポリマーディスパージョン、再乳化形粉末樹脂などと称される合成樹脂を含むものは、ポリマーセメントモルタルと呼ばれています。
不燃材料や防火構造等の告示に示されているモルタルについては、特に定義が明確に示されていませんので、基本的にはJASS15(左官工事)や住宅金融支援機構などの仕様書に準じたモルタルであれば問題ないものと思われます。
何れの仕様書でもセメントと砂の他に混和材として合成樹脂系の混和材を適量使用する仕様が標準とされており、住宅金融支援機構の仕様書においては、セメントに対する容積比で0.1〜0.5%との目安が示されています。
したがって、セメントに対する容積比で0.5%以下の混和材を用いたポリマーセメントモルタルであれば、告示のモルタルと見なしても良いと考えられます。
防火構造等の指定がある建築物の外壁で、屋外側に軽量セメントモルタルを適用する場合、NPO法人湿式仕上技術センターに交付された認定書には、モルタル表面の塗料や仕上塗材については何も記載されていません。認定書に明記されていなくても、塗料や仕上塗材は適用できるのでしょうか?
最近の国土交通大臣認定においては、表面の仕上材についても認定条件を明確にするケースがありますが、通則認定が認められていた頃は、屋外側モルタル表面の塗料や仕上塗材が燃焼したとしても、外壁の防耐火性能が損なわれることはないとされ、認定試験においても仕上材による被覆は省略されてきました。 また、「建築物の防火避難規定の解説 2005、日本建築行政会議編集、鰍ャょうせい発行」では、例示仕様が対象とされているものの、『告示に例示された耐火構造(準耐火構造、防火構造、準防火構造も同様)の外壁や軒裏に、表面材として木材などの可燃材料を張る場合や、外壁に一定の性能を有する外断熱材を施す場合は、それぞれの構造に必要な性能を損ねないと判断できる。』とされていますし、防火構造等の例示仕様(平成12年建設省告示第1359号「防火構造の構造方法を定める件」)でも、外壁の鉄網モルタル塗りの表面仕上材については言及されていません。 したがって、認定書に塗料や仕上塗材による仕上げが明記されていなくても、軽量セメントモルタル表面への塗料や仕上塗材の適用は問題ないと考えられますので、建築確認にあたっては、これまでの実情や告示の主旨も踏まえ建築主事等にご確認ください。
準耐火構造の外壁において断熱材を用いない仕様で国土交通大臣認定を受けている場合、屋内側に有機系断熱材は使用できるのでしょうか?
使用できません。当該断熱材を用いる仕様で国土交通大臣認定を取得する必要があります。
外壁準耐火構造等の品目名に両面とあるのは、屋外側も屋内側も同じ被覆でなければならないという意味でしょうか?
認定書に記載されている屋外側被覆と屋内側被覆に準じれば問題ありません。外壁の場合は間仕切り壁と異なりますので屋外側と屋内側の被覆が異なるのが一般的です。両面の意味は建設省(現、国土交通省)の通知で次のように説明されている例があります。『両面同一の防火被覆を張って試験を行ったものであり、片面に当該防火被覆を張り反対側の面に告示において指定されている防火被覆又は個別・通則指定されている防火被覆(品目名が「両面」のものに限る。)を張ったものも併せて用いることが可能なもの。外壁の場合、両面に同一の防火被覆を張らない仕様が一般的であり、あくまでも便宜上の表現である。』
NPO法人湿式仕上技術センターが国土交通大臣認定を受けている軽量セメントモルタル塗りの軒裏準耐火構造において、軒裏に設けられた換気口等に対する認定は含まれていますか?
換気口を設けた軒裏の認定とはなっていません。軒裏は外壁と異なり建築基準法上防火設備の要求がありませんので、換気口を有する軒裏の構造方法等として国土交通大臣認定を受けなければならないことになっています。
防火構造等において小屋裏の防火被覆は必要でしょうか?
対象となっている部位が外壁の屋内側とみなせる場合は、外壁として認定を受けている仕様の屋内側被覆に準じなければなりません。ただし、対象部位が軒裏で遮られている場合は不要です。「建築物の防火避難規定の解説 2005、日本建築行政会議編集、鰍ャょうせい発行」に示されている図は、以下のとおりです。

以下のホームページが参考となります。
(1)防火材料等関係団体協議会
  「防火材料等の認定や運用にかかる質問・回答集」No.17
   http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2013/11/bk_qa.pdf
(2)神奈川県建築行政連絡協議会
  「防火構造の屋内側の仕上げの範囲に関する神奈川県内の取扱いについて」
   http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/28287.pdf
旧通則認定が平成12年の建築基準法改正によって見直され、新法に基づいて移行認定を受けた準耐火構造の屋内側被覆については、認定書別紙に列記されるようになりましたが、その中で間仕切壁の認定番号については、どのような仕様を適用するのか教えてください。
旧通則認定における45分準耐火構造の屋内側被覆についての記載は、次のようになっていました。
「内装材は建設省告示第1453号の一般指定の間仕切壁の内装材、別途個別指定の両面対称間仕切壁の内装材又は本件外装材」
ただし、移行認定に際し当時認定されていた仕様を整理し、認定書の別紙にすべて列記することとなりました。その中で、例えば認定書の別紙に記載されている準耐火(通)W1001(現、QF045BP-9071:両面強化せっこうボード張り/木造・鉄骨造間仕切壁)を適用する場合は、屋内側に12.5mmの強化せっこうボードを張る仕様となります。屋内側に間仕切壁を取り付けるという意味ではありません。
建築基準法で外壁屋外側表面の塗装仕上げを不燃材料としなければならない場合があるのでしょうか?
建築基準法では内装制限がある場合に、屋内側に防火材料を使用しなければなりませんが、外壁の屋外側における塗装仕上げについては建築基準法による規制はありません。
有機系の塗料や仕上塗材は不燃材料と言えるのでしょうか?
塗料、仕上塗材などの仕上材は、適用される下地(基材)に塗り付けて使用されますので、基材を含めて性能評価や国土交通大臣認定が行われます。性能評価の方法は仕上材を適用する基材の種類や、施工方法(現場施工または基材と一体化して供給される部材)などの条件によっても異なりますが、基本的には基材の表面に仕上材を施した試験体で性能を評価し、不燃性能が認められれば、不燃材料として認定されます。
なお、旧建築基準法においては、認定を受けた仕上材を不燃材料に適用した場合は「不燃材料」、準不燃材料に適用した場合は「準不燃材料」とみなされ、「仕上げを施しても基材と同等以上の性能を有している」という意味から、このような仕上材は「基材同等」の材料と呼ばれていました。
建築基準法に基づき防火構造等の指定がある建築物において、経年劣化したモルタル仕上げ外壁のひび割れなどを補修する場合、既存のモルタルと同じ材料を用いなければならないのでしょうか?
基本的には既存の材料と同じ材料で補修するのが最善と考えられます。つまり、既存のモルタルが告示の例示仕様に基づくセメントモルタルであれば、JASS15(左官工事)に定められているセメントモルタルで、また、個別に国土交通大臣認定を受けている軽量セメントモルタル等であれば、認定条件に適合する製品で補修することをお勧めします。
一般に、コンクリートも含め外壁の補修・改修工事においては、ひび割れへの注入やUカット充填、欠損部への充填などが行われますが、個別の物件を対象として試験により防耐火性能を検証することは困難とされていますので、具体的な工事仕様等については建築主事等にご相談ください。
内装制限のある部位の改修で、不燃材料の認定を受けている壁紙の表面を不燃材料の認定を受けている仕上塗材で塗り替えても良いのでしょうか? 不燃材料による仕上げが保持されていると解釈できるのでしょうか?
壁紙の表面に仕上塗材を塗付ける仕様で国土交通大臣による不燃材料の認定を受けていれば、その条件の範囲で仕上塗材で塗り替えることは可能です。しかし、NPO法人湿式仕上技術センターに交付された認定書には、壁紙の表面に仕上塗材を塗付ける仕様は含まれていませんので、内装制限のある部位においては、壁紙を剥がして塗り替えないと不燃材料とは認められません。
NPO法人湿式仕上技術センターに交付された防火構造外壁および準耐火構造外壁・柱・軒裏の国土交通大臣認定書において、「改質アスファルトフェルト」は防水材として適用できるのでしょうか?
湿式仕上技術センターに交付されている認定書の中で、防水材を用いる仕様については、次の2種類に大別できます。
@旧通則認定(平成14年5月17日に移行認定を受けたもの)
  防火構造外壁:PC030BE-9190、9192
準耐火45分外壁:QF045BE-9209、9211、9213、9214
準耐火45分柱:QF045CN-9020、9023
準耐火45分軒裏:QF045RS-9105、9107、9108、9110
準耐火60分外壁:QF060BE-9213、9214
A平成21年に認定を受けたもの
  防火構造外壁(軸組):PC030BE-1472〜1475、1480〜1483、1488〜1495
防火構造外壁(枠組):PC030BE-1548〜1550、1554〜1556、1560〜1565
準耐火45分外壁(軸組):QF045BE-0523〜0526、0531〜0534
準耐火45分外壁(枠組):QF045BE-0541〜0543、0547〜0549

このうち、@の認定書では「JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)に適合するアスファルトフェルト430又は防水シート等でNPO法人湿式仕上技術センターの製品品質基準に適合するもの」が認定条件として特定されています。したがって、何れかの条件に適合するものであれば適用できます。
なお、湿式仕上技術センターの製品品質基準では、「防水シートは目付70g/u以上、JIS L 1092(繊維製品の防水性試験方法)の低水圧法による耐水圧が2000mmH2O以上およびミューレン法による破裂強力が7kgf/cm2以上のものとする。」となっていますので、「改質アスファルトフェルト」の適合性については、各改質アスファルトフェルト製造所にお問い合わせください。
Aの認定書ではJIS A 6005に関係なく「単位面積質量860g/u以下・厚さ1.2mm以下のアスファルトフェルト」が認定条件となっていますので、その条件を満たしている「アスファルトフェルト」は、防水材として適用できます。
なお、「改質アスファルトフェルト」と称されている防水材は、防水性能・耐久性能を高めた「アスファルトフェルト」ですから、認定条件である「単位面積質量860g/u以下・厚さ1.2mm以下」を満たしていれば、防水材として適用できると考えられます。
平成26年国土交通省告示第861号「耐火構造の構造方法を定める件の一部を改正する件」において、木造1時間耐火構造外壁の屋外側防火被覆の一つとして「モルタル」が明記されていますが、軽量セメントモルタルも適用可能でしょうか?
可能です。平成26年5月29日から同年6月27日までの期間において実施されたパブリックコメントの結果「耐火構造の構造方法を定める件(平成十ニ年建設省告示第千三百九十九号)の一部を改正する告示案に関する意見募集の結果について」(平成26年8月27日住宅局建築指導課)において、次の内容が示されています。

【パブリックコメントにおける主なご意見等】
告示案における「モルタル」にはJASS 15 左官工事に準じる既調合モルタル仕上げ(一般に軽量モルタルと言われているもの)は含まれるか。

【国土交通省の考え方】
含まれます。
耐火構造の構造方法を定める件の一部改正する告示案に関する意見募集の結果について
(PDF) 参照

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155140707&Mode=3
国土交通省告示の防火構造、45分準耐火構造、1時間準耐火構造において、木造住宅外壁の屋外側仕上げにセメントモルタル(一般に砂モルタルと言われるもの)も軽量セメントモルタルも使用できますか?
平成28年3月30日・31日公布・施行の国土交通省告示の内容は、次のとおりとなっており、何れの構造においてもセメントモルタルおよび有機量8%以下の軽量セメントモルタルが使用できます。

【1時間準耐火構造(主要構造部を木造とすることができる大規模の建築物の主要構造部の構造方法を定める件)】
告示の第1第三号ハ(3)の「塗厚さが20mm以上の鉄網モルタル」がセメントモルタルで、第1第三号ハ(4)の「塗厚さが20mm以上の鉄網軽量モルタル(モルタル部分に含まれる有機物の量が当該部分の重量の8%以下のものに限る。)」が、軽量セメントモルタルです。

【45分準耐火構造(準耐火構造の構造方法を定める件)】
告示の第1第三号ハ(1)は「1時間準耐火構造告示第1第三号ハ(1)から(6)までのいずれかに該当するもの」となっており、(3)がセメントモルタル、(4)が軽量セメントモルタルです。

【防火構造(防火構造の構造方法を定める件)】
告示の第1第一号ハ(3)(ii)(イ)は「平成27年国土交通省告示第253号第1第三号ハ(1)又は(4)から(6)までのいずれかに該当するもの」となっており、(4)が軽量セメントモルタルです。また、セメントモルタルについては、第1第一号ハ(3)(ii)(ロ)で「塗厚さが20mm以上の鉄網モルタル塗又は木ずりしっくい」と明記されています。
NPO法人湿式仕上技術センターおよび日本建築仕上材工業会のホームページで、国土交通大臣認定を受けた防火材料等の検索ができますが、その中で防火構造、準耐火構造に使用される軽量セメントモルタルは、A14の告示に示されている鉄網軽量モルタルに該当しますか?
該当します。ホームページに掲載されている防火構造、準耐火構造の製品は何れも有機量8%以下ですから、告示の仕様にも適用できます。なお、ホームページに掲載されていない製品につきましては、当該製品の製造会社にお問い合わせください。

防火材料等の検索 http://www.npo-stc.jp/data/bouka/
木造住宅等の外壁に使用される軽量セメントモルタルの品質基準はありますか?
日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 15 左官工事」の付録に、日本建築学会規格として「JASS 15 M-102 ラス系下地用既調合軽量セメントモルタルの品質規準」が定められています。なお、2016年12月20に「JIS A 6918 ラス系下地用既調合軽量セメントモルタル」が制定されました。
国土交通省告示の45分準耐火構造、1時間準耐火構造において、木造住宅軒裏の仕上げにセメントモルタル(一般に砂モルタルと言われるもの)も軽量セメントモルタルも使用できますか?
平成29年3月21日国土交通省告示第202号により1時間準耐火構造の軒裏に、また同203号により45分準耐火構造の軒裏に、有機量8%以下の軽量セメントモルタルが追加され、セメントモルタルとともに告示仕様として使用できることとなりました。

【1時間準耐火構造(主要構造部を木造とすることができる大規模の建築物の主要構造部の構造方法を定める件)】
軒裏の構造方法を定めている第5第一号ハは「第1第三号ハ(2)から(4)まで又は(6)のいずれかに該当するもの」となっており、次のものが該当します。
第1第三号ハ(3):塗厚さが20mm以上の鉄網モルタル
第1第三号ハ(4):塗厚さが20mm以上の鉄網軽量モルタル(有機物量8%以下)
第1第三号ハ(6):厚さが12mm以上の硬質木片セメント板+厚さが10mm以上の鉄網軽量モルタル

【45分準耐火構造(準耐火構造の構造方法を定める件)】
軒裏の構造方法を定めている第5第二号(イ)は「1時間準耐火基準に適合する構造とすること」となっており、前述の1時間準耐火構造の仕様が適用できることとなっています。
軽量セメントモルタルを2回で塗り付ける場合、防火構造等の認定書に下塗り10mm、上塗り5mmと記載されていた場合、各層の塗厚を厳守しなければなりませんか。 また、総塗厚が「15mm」と記載されている場合、15mm丁度に塗らなければならないですか。
旧通則認定の移行認定書の中には、総塗厚15mmの場合、下塗り10mm、上塗り5mmと明記されているものがありますが、現在の国土交通省告示や個別認定においては総塗厚しか明記されていません。軽量セメントモルタル塗り外壁の防火構造等の性能は総塗厚で担保されますし、下塗りと上塗りの各層の塗厚は鉄網の山高によっても変わりますから、施工時の目安と考えてください。また、総塗厚については、国土交通省告示や個別認定においては「塗厚が増すほど防耐火上有利」と判断していますので、数値のみが記載されている場合は最低限の塗厚と考えてください。
令和3年6月に改正された国土交通省告示の防火構造と45分準耐火構造において、木造住宅外壁の軽量セメントモルタルの仕様について教えてください。
軽量セメントモルタルの塗厚さが20mm以上の仕様のほかに、15mm以上とする仕様が追加されました。ただし、屋内側仕様は20mm以上の仕様と異なります。なお、1時間準耐火構造においては、改正されていませんので、軽量セメントモルタルの塗厚さは20mm以上の仕様だけとなります。
【準耐火構造の構造方法を定める件(令和3年国土交通省告示514号)】
45分準耐火構造
【防火構造の構造方法を定める件(令和3年国土交通省告示513号)】
防火構造
軽小屋裏、階段裏等で防火被覆としてせっこうボードは必要でしょうか?
防火構造(軸組)に限り、NPO法人湿式仕上技術センターが取得した国土交通省大臣認定書において、屋内側の防火被覆をなしとすることができます。

防火構造外壁(軸組):PC030BE-3853(1)、PC030BE-3853(2)

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