【材料一般】に関するQ&A

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仕上塗材とはどのような仕上げ材料ですか? 塗料とは違うのですか?
塗料は塗り厚さが数十μm(1μmは千分の1mm)程度の材料ですが、仕上塗材は数mm程度の比較的厚膜に施工される材料です。仕上塗材の品質はJIS A 6909(建築用仕上塗材)に規定されていますが、セメント、合成樹脂などの結合材、顔料、骨材などを主原料とし、主として建築物の内外壁又は天井を、吹付け、ローラー塗り、こて塗りなどによって立体的な造形性をもつ模様に仕上げる材料です。汎用的な仕上塗材には、リシン、吹付けタイル、スタッコ、じゅらく、珪藻土などと呼ばれている材料があります。
仕上塗材は何と読むのでしょうか?
「しあげぬりざい」と読みます。建築用語辞典(建築用語辞典編集委員会編、技報堂出版)や建築仕上用語集(日本建築仕上学会編、テツアドー出版)をご参照ください。
仕上塗材は英語で何というのでしょうか?
日本工業規格ではJIS A 6909「建築用仕上塗材(Coating materials for textured finishes of buildings)」として規格化されており、Coating materials for textured finishesと訳されています。なお、英国で新材料・部材認定制度を実施している英国アグレマン協会(British Board of Agrement)のMOAT 33 (Assessment of masonry coatings)ではmasonry coatingと称されています。なお、下塗りから上塗りまでの総合塗膜を強調する場合はmasonry coating systemとも言われます。
仕上塗材には、どのような種類がありますか?
JIS A 6909では模様の違いや結合材の違いによって細分類されていますが、大別すると薄付け仕上塗材、複層仕上塗材、厚付け仕上塗材、軽量骨材仕上塗材、可とう形改修用仕上塗材に分類されます。
【薄付け仕上塗材】
樹脂リシン、アクリルリシン、砂壁状じゅらく、などと称される比較的薄塗りの砂壁状の塗材が代表的
【複層複層塗材】
吹付けタイル、アクリルタイルなどと称される凹凸模様の塗材が代表的で、主材は模様付けに、上塗材(塗料)は色、光沢、耐候性などの機能の付与に用いられる
【厚付け仕上塗材】
スタッコなどと総称される比較的厚塗りの凹凸模様の塗材で、セメントを結合材とするセメントスタッコ、合成樹脂エマルションを結合材とする樹脂スタッコがある
【軽量骨材仕上塗材】
天井などに用いられる一般的には砂壁状の軽量の塗材
【可とう形改修用仕上塗材】
改修工事用の塗材で、主材と上塗材(塗料)で構成されるが、主材は微弾性フィラーなどとも称されていた
リシンには毒性があると聞いたのですが?
仕上塗材の一種である樹脂リシンやセメントリシンは砂が散布されたような仕上がりとなる材料ですが、和製英語のスペルは「lithin」で、ヒマ(Ricinus communis)の実から得られる毒素リシン(ricin)とは全く異なります。
外壁などに使用される吹付けタイルの上塗材(塗料)で、性能が良く長持ちするのはどのような塗料でしょうか?
上塗材(塗料)は樹脂の違いによって、一般的にはふっ素系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の順に耐候性が良く長持ちすると認識されています。JIS A 6909では促進試験の結果に応じて、耐候形1種、耐候形2種、耐候形3種の性能区分が設けられており、1種が最も耐候性に優れています。なお、塗料の性能については耐候性以外に、低汚染性、防藻性、防かび性、色、光沢なども要求されますし、性状からは水系、溶剤系、弱溶剤系などの分類もありますので、目的や予算などを総合的に勘案して、塗料メーカーにご相談ください。
光触媒塗料とは、どのような塗料でしょうか?
光触媒塗料は、光触媒効果のある酸化チタン(白色顔料)を使用している塗料で、光の作用により汚れ防止、防藻・防カビ、防臭、ホルムアルデヒド等の分解などを特徴とする塗料です。
一般の有機系塗料に光触媒酸化チタンを用いると樹脂が早期に劣化するため、比較的高価な樹脂が用いられています。また、塗膜厚さは数μmで比較的薄塗りであり、現場施工で均質な塗膜を確保するためには、高度な塗装技術が求められます。
なお、屋外の汚染防止を目的とした塗料には、光触媒塗料に限らず塗膜の親水性によって汚れを目立たなくする低汚染塗料などと称されている塗料もあり、汎用的に用いられています。
高日射反射率塗料(遮熱塗料)とは、どのような塗料でしょうか?
高日射反射率塗料は遮熱塗料とも称されていますが、太陽光のうち熱に関係のある近赤外線領域の波長を塗膜の表面で反射し、室内の温度上昇を抑制したり、ヒートアイランド対策として注目されている塗料です。2011年にJIS K 5675(屋根用高日射反射率塗料)として規格化されました。
MSDSとは何ですか?
Material Safety Data Sheet(製品安全データシート、または化学物質安全性データシート)の略で、化学物質が含まれる製品や原材料などを安全に取り扱うための情報が記載されています。
外装の塗り替えは何年くらいで行ったら良いのでしょうか? また、期待耐用年数というのは塗り替え時期の目安なのでしょうか?
マンションなどでは劣化の修繕を兼ねて美観を保持し、資産価値の極端な低下を防止する目的もありますから、一般的な塗り替え時期の目安は概ね9年〜15年、また官庁建物など建物の美観より効用(防水性などの機能)を重視する場合は概ね18年〜20年と認識されています。塗り替え時期は塗膜の劣化状態や改修する目的によっても異なりますので、一概に何年とは言い難いものですが、外装の場合は仮設足場を設置しての塗り替えとなりますので、他の工事(陶磁器質タイルの改修、シーリング材の改修)の実施や予算などを総合的に勘案して計画することが肝要です。なお、塗料メーカーが提案している期待耐用年数は、塗材の劣化を重視した平均的な塗り替え時期の目安ですが、建物の地域、環境、部位、施工水準などによっても劣化の進行が異なりますので、耐久性を保証しているわけではなく、塗材の種類によっても耐久性が異なることを提示しています。
外装の塗り替えにあたって塗材を選定する場合に、既存の仕上塗材の種類や劣化状態を考慮する必要がありますか?
既存塗膜と塗り替えに用いる塗材には相性(適合性)がありますので、塗料メーカーに相談してください。なお、最近ではほとんどの既存塗膜に適用可能なことから「可とう形改修用仕上塗材E(主材は微弾性フィラーなどとも称される)」での塗り替えが一般的となっています。ただし、既存塗膜の劣化が著しく進んでいたり、特殊な塗料等については、付着性が確保されないこともありますので、改修工事仕様の検討にあたっては事前に試し塗りを行い、問題がないか確認しておくことをお奨めします。
仕上塗材の表面に藻やカビが認められることがありますが、原因とその対策を教えてください?
仕上塗材は水系の製品が多く、藻やカビの原因となる原料も使用されています。また、樹脂リシンなど特に表面が粗く光沢のない塗材は、平滑で光沢のある塗料に比べると藻やカビの胞子が付着しやすくなっています。製品選定にあたっては、防藻性・防カビ性などの表示がある製品をお薦めします。なお、改修工事においては既存塗膜表面に生じている藻やカビを入念に除去・清掃したうえで、防藻性・防カビ性などの表示がある製品で塗り替えてください。
モルタルにはどのような種類があるのでしょうか?
組成から次の4つに大別されます。 
@セメントモルタル
  セメント、砂、水を混ぜ合わせたもので、砂モルタルや普通モルタルとも称される
Aポリマーセメントモルタル
  セメント、砂、水の他に混和材として合成樹脂エマルションや水溶性樹脂を混ぜ合わせたもの
B樹脂モルタル
  セメントを使用せず、合成樹脂と砂を混ぜ合わせたもの
C軽量セメントモルタル
  セメントモルタルやポリマーセメントモルタルの砂の一部または全部に軽量骨材を用いて、軽量化されたモルタル
白色セメントまたは白色ポルトランドセメントのJISはないのでしょうか?
JISによるセメントの種類は、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメント、耐火物用アルミナセメントに区分されており、白色セメント(または白色ポルトランドセメント)のJISはありません。なお、普通ポルトランドセメントは酸化第二鉄Fe2O3を含んでいるため一般的に灰色をしていますが、白色ポルトランドセメントはFe2O3をできる限り含まないようにして白色にしたものです。輸入品も含め市販されている白色セメントは製品によって化学組成が異なりますが、JISでは色の規定がありませんので、例えば白色のセメントがJIS R 5210(ポルトランドセメント)の中の普通ポルトランドセメントの規定に適合していれば、白色の普通ポルトランドセメントと言えます。
雨水浸入に有効な仕上塗材には、どのようなものがありますか?
まもりすまいる保険設計施工基準・同解説 2019年版(住宅保証機構)では、第2章 木造住宅
に雨水浸入を防止する部分について次の規定があります。
第9条 ALC パネルその他これらに類する材料を用いた外壁の表面には、次の各号のいずれかに該当する雨水の浸透を防止する仕上材等の防水措置を施すものとする。
  1. JIS A 6909(建築用仕上塗材)の薄付け仕上塗材に適合する防水形外装薄塗材E
  2. JIS A 6909(建築用仕上塗材)の厚付け仕上塗材に適合する外装厚塗材E
  3. JIS A 6909(建築用仕上塗材)の複層仕上塗材に適合する複層塗材 CE、可とう形複層塗材CE、防水形複層塗材CE、複層塗材Si、複層塗材E又は防水形複層塗材E
  4. JIS A 6021(建築用塗膜防水材)の外壁用塗膜防水材に適合するアクリルゴム系
  5. 前各号に掲げるものと同等以上の雨水の浸透防止に有効であるもの
同基準・解説では木造住宅の他に、第3章 鉄筋コンクリート造住宅及び鉄骨鉄筋コンクリー
ト造住宅、第4章 鉄骨造住宅、第5章 補強コンクリートブロック造住宅の記載がありますが、
特に第4章 鉄骨造住宅については、上記第9条を準用することとなっています。
ALCパネルに対する雨水浸入に有効な仕上材の詳細については、【ALC外壁への雨水浸入に有効な仕上塗材】をご参照下さい。

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